敗者のゲームを読んで、長期での投資運用の考え方を学ぶ

投資

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本記事の内容

チャールズ・エリスの敗者のゲームを読んだ。 2022 年 1 月に出た第 8 版である。

https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/35911

この本の内容は、個人投資家が株式市場で勝つための方法として、インデックスファンドの長期運用を勧める、というものである(ざっくり)。加えて終盤では、長期運用するにあたり、生涯を通じた投資プランを立てるためのアドバイスが書かれている。

この本を読んで、投資運用の目的と人生設計について、勉強になったことを2つ紹介する。

1.自分の一生と資産運用期間の長さは異なる

一般に、「高齢者は、株式への配分比率を下げ、債権に投資すべきだ」という助言があるが、これは必ずしも適切ではないと筆者は述べている。高齢で残りの人生が短くても、もし資産を子供に残すつもりならば、子供の寿命も運用期間として考慮する必要があるからだ。

この本を読むまで、私には、自分の一生を超えるような超長期で資産を考えるという発想がなかった。 資産相続なんて、資産家だけの話で、私には関係のないことだと思っていた。賢明な資産家は、資産の運用が必ずしも自分の一生とともに終わらないことを十分理解しているのかもしれないし、それが資産家が代々資産家たる理由の一つなのかもしれない。

2.人生の終盤でお金持ちになったところで、何の意味があるのか?を考えるためのヒント

著者が最も勧めるインデックスファンドへの投資は、長期運用が基本であるため、運用の目的は、必然的に数十年後の老後に向けたものになる。このとき、資産の活用方法として、3つの目標があるとチャールズ・エリスはいう。

第一は、自分の引退後の生活資金の確保である。 第二が愛する者への遺産。 第三の社会への「お返し」も、私たちの心に励みと充実感を与えてくれる。 (出典:チャールズ・エリス, 鹿毛雄二, 鹿毛房子作敗者のゲーム[原著第8版]。 http://books.rakuten.co.jp/e-book/

まず、1の老後の生活資金について。 自分の老後の生活資金の確保できなかった場合どうなるか考えたことはあるだろうか。老後資金が尽きる、なのに再就職できない、それに加えて莫大な医療費がかかる…。自分の老後のお金の問題について、最悪のケースを想定することが、いかに難しいかに気づけた。これは私に限った話ではないだろう。誰しも未来のことを予想するのは難しく、楽観的になりがちだ。楽観主義バイアスのひとつかもしれない。バイアスを取り除いたところで、未来を正確に予測するのは不可能だが、人間どうしても楽観的にしか考えることができない、ということは理解しておくべきだろう。

2の遺産については、先程述べたとおり。

3の社会への「お返し」について。「お返し」とは寄付や支援などの社会貢献のことであるが、これも考えたことがなかった。 高齢になり、人的資本が大きく目減りしたとしても、余った金融資産を用いて生産的な活動ができるのならば、筆者の言う通り、老後も精神的に充実した生活を送れそうだと思った。 私は投資をやっていて、元気でやりたいことがたくさんある若いうちにお金を使うべきか、遠い未来のためにお金を増やすべきか、わからなくて悩んでいたが、こういった考え方・お金の使い方もあるんだなと勉強になった。寄付や支援と言われてもピンとこないが、本中には、社会貢献の実例がいくつか挙げられている。どれも読んでいるだけで「いいね!」と思えるような内容だ。

まとめ

自分は最近積立投資を始めたばかりだが、特に運用の目的は考えておらず、これからどうしていこうかヒントが欲しくて、「投資哲学の名著」とされるチャールズ・エリスの敗者のゲームを読みはじめた。 読み終えて、自分の中に超長期での投資運用の考え方が生まれた。 この本を買って正解だったな。今後も何度か読み返そうと思う。